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和倉温泉「多田屋」が無人宿泊施設「くろもじステイ」を開業:能登復興を支える老舗旅館の新たな挑戦

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石川県七尾市・和倉温泉の老舗旅館「多田屋」が、新たな宿泊施設「くろもじステイ」を開業しました。

「くろもじステイ」の大きな特徴は、常駐スタッフを置かない無人宿泊施設であることです。

能登半島地震で被災した多田屋近くの社員寮を改修し、復旧・復興に携わる事業者やボランティア、能登への移住を検討している人などが滞在できる「小さな宿」として生まれ変わりました。

接客による「おもてなし」を大切にしてきた老舗旅館が、なぜ「無人の宿」という新しいスタイルに挑戦したのでしょうか。

その背景には、本館の営業再開までの時間を新たな事業と人材育成につなげるとともに、宿泊を通じて能登の復旧・復興を支えたいという思いがあります。

当記事では、和倉温泉・多田屋が手掛ける「くろもじステイ」の特徴や誕生した背景、施設情報、そして新たな宿泊スタイルが能登復興に果たす役割について詳しく紹介します。

目次

和倉温泉の老舗旅館「多田屋」が無人宿泊施設を開業

石川県七尾市の和倉温泉にある老舗旅館「多田屋」が、常駐スタッフを配置しない無人宿泊施設の運営に乗り出しました。

施設名は「くろもじステイ」。

多田屋を運営する白崎シーサイドホテルが8月17日に開業しました。

施設として活用したのは、多田屋の近くにある社員寮です。

能登半島地震で被災した建物を改修し、復旧・復興事業者やボランティアなどが滞在できる宿泊施設へと生まれ変わらせました。

多田屋は能登半島地震によって大きな被害を受け、本館は休業が続いています。

再建までには長い時間が必要となるなか、「今できること」から新たな事業を生み出し、地域の復興にもつなげようと始まったのが「くろもじステイ」です。

報道によると、和倉温泉旅館協同組合の加盟旅館が無人宿泊施設を運営するケースは他にないといいます。

旅館といえば、スタッフによるきめ細かな接客や食事、温泉などを思い浮かべる人も多いでしょう。

それに対して「くろもじステイ」は、省人化とセルフサービスを取り入れた新しいスタイルです。

長年「おもてなし」を提供してきた老舗旅館が従来とは異なる宿泊施設に挑戦する点でも、注目される取り組みと言えそうです。

「くろもじステイ」はどんな宿泊施設?

「くろもじステイ」は、大規模な温泉旅館とは異なり、滞在するために必要な機能をコンパクトにまとめた宿泊施設です。

建物1階にはシングルルームが全5室あり、それぞれの部屋にキッチンを備えています。

共用スペースにはシャワーブースやランドリーを設置。

復旧・復興事業者やボランティアなど、ある程度まとまった期間にわたって能登に滞在する人にも使いやすい設備となっています。

さらに特徴的なのが、海に面したラウンジです。

単に宿泊するだけではなく、打ち合わせや利用者同士の交流の場として活用することが想定されています。

「復興の仕事で能登を訪れた人」「ボランティアで訪れた人」「能登で新しい事業を始めようとしている人」など、異なる目的を持った人たちが同じ場所に滞在することで、新たな交流が生まれる可能性もあります。

また、宿への出入りには2次元コードを利用して解錠するセルフチェックイン方式を採用しています。

スタッフが常駐しなくても宿泊者がチェックインできる仕組みを導入することで、限られた人員でも宿泊施設を運営できるようにしています。

「無人」という言葉から簡素な施設を想像するかもしれませんが、キッチンやランドリー、交流できるラウンジなどを備えている点を見ると、「暮らすように能登に滞在する」ことを意識した施設といえるでしょう。

なぜ多田屋が「無人の宿」に挑戦したのか

多田屋が「くろもじステイ」を始めた背景には、能登半島地震による大きな被害があります。

地震によって被災した多田屋は本館の営業を休止し、再建に向けた取り組みを進めています。

報道では2028年を目標に営業再開を目指しているとされていますが、再建までには長い時間が必要です。

その間、ただ営業再開を待つのではなく、新しい事業を生み出すと同時に、能登の復旧・復興にも貢献できないか。

その発想から生まれたのが「くろもじステイ」でした。

もう1つ重要なのが「省人化」です。

報道によると、多田屋では現在、常勤社員5人と、在籍型出向中で週1回出勤する7人が再建準備を進めています。

従来の旅館のように多数のスタッフを配置してサービスを提供することが難しいなか、セルフチェックインなどを導入すれば、少ない人数でも宿泊施設を運営できます。

「無人化」は単純なコスト削減策ではなく、被災後の限られた人員でも宿泊という役割を地域に提供するための選択肢でもあるのです。

「能登に関わる人」の滞在拠点へ

「くろもじステイ」が想定している利用者は、一般的な観光客だけではありません。

特に期待されているのが、能登の復旧・復興に携わる人たちの滞在拠点としての役割です。

能登半島地震からの復旧・復興には、工事関係者をはじめ、様々な分野の人が地域外から訪れます。

また、継続的に能登を訪れて支援活動を行うボランティアもいます。

さらに、温泉街で新しい店舗の出店準備を進める事業者や、能登への移住を検討する人なども利用者として想定されています。

共通しているのは「能登に関わる人」であることです。

七尾市内ではアパートの空き室不足も課題となっており、「くろもじステイ」の建物2階にある8部屋については賃貸物件として貸し出します。

短期的な宿泊だけではなく、一定期間の滞在にも対応することで、復興に携わる人の「住む場所」を支える狙いがあります。

復興というと、道路や建物などを直すハード面に注目が集まりがちです。

しかし、復興を進める人が安心して滞在できる場所を確保することも欠かせません。

「くろもじステイ」は、その「滞在」を支えることで能登復興を下支えしようとしているのです。

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若手社員が中心となってつくった「くろもじステイ」

「くろもじステイ」には、もう1つ注目したいポイントがあります。

企画の中心となったのが、多田屋の20~30代の若手社員だったことです。

報道によると、多田健太郎社長は「開業準備そのものをスタッフのトレーニング、成長の機会にしよう」と考え、若手社員を中心に新業態の企画を進めました。

本館が休業している状況では、従来の旅館業務を通して経験を積む機会も限られます。

そこで、新しい宿を1から立ち上げる経験そのものを社員の成長につなげようとしたのです。

入社約10年でフロントを担当していた山岸志穂さんも、初めての取り組みが自身の成長につながったと振り返り、能登に興味を持つ多くの人に利用してほしいとの思いを語っています。

施設を企画し、開業させ、運営していく。

この経験は、将来的に多田屋本館が再開した際にも生かされるでしょう。

「くろもじステイ」は能登を訪れる人のための宿であると同時に、多田屋の未来を担う人材を育てる場所にもなっているのです。

老舗旅館の「おもてなし」と無人化は両立する?

「多田屋が無人宿泊施設を始めた」と聞くと、これまで旅館が大切にしてきた「おもてなし」とは正反対のように感じるかもしれません。

確かに従来の旅館では、宿泊客をスタッフが出迎え、食事を提供し、細やかな接客を行うことがおもてなしの1つとされてきました。

一方、「くろもじステイ」では常駐スタッフを置かず、2次元コードによるセルフチェックインを採用しています。

ただし、おもてなしを「スタッフが直接接客すること」だけに限定しなければ、別の見方もできます。

復興作業をする人が泊まれる場所をつくること。

長期滞在しやすいようにキッチンやランドリーを用意すること。

利用者同士が交流できるラウンジを設けること。

そして、限られたスタッフでも無理なく施設を運営し続けること。

これらも「その土地を訪れる人に必要な環境を提供する」という意味では、1つのおもてなしの形と考えることができます。

多田屋の挑戦は、「人による接客」か「無人化」かという二者択一ではなく、その時々の地域や利用者に必要な宿泊サービスとは何かを考える試みと言えるでしょう。

アクセス・施設情報

・施設名:くろもじステイ

・住所:石川県七尾市奥原町3番地29

・運営:白崎シーサイドホテル(多田屋)

・客室:1階シングルルーム5室

・客室設備:キッチン

・共用設備:シャワーブース、ランドリー、ラウンジ

・チェックイン:2次元コードを使用したセルフチェックイン方式

・2階:8部屋を賃貸物件として活用

・公式インスタグラムはこちら

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この記事を書いた人

当サイトでは石川県内の時事、新店舗、新施設などの話題&雑談を扱っています。

筆者は富山県出身&富山県在住です。

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